平戸いのししをメニューに取り入れて頂いてるレストランのシェフへのインタビュー記事。 シェフが感じる平戸いのししの特徴や調理の仕方などを連載形式で掲載していきます。
第二回目の今回は浅草の人気フレンチレストランのLudique大塚勝也シェフにインタビューを実施してきました!
ABOUT THE CHEF
Ludique(ルディック)
大塚勝也シェフ
――――お店の一番のお勧めである「おまかせコース」のメニュー構成を教えて頂いて宜しいでしょうか?
前菜からデザートまで9品のお料理を食べて頂くコースをご用意しております。
内容は季節によって変わりますが、現在はこちらの構成で提供しています。
<アミューズ>
イノシシのクロケット 春菊風味
フォアグラ最中
<前菜>
ホワイトアスパラ 魚介 サラダ仕立て
<温前菜>
トリュフピュレ 温泉卵
カニ味噌のグラチネ 長谷川農園ブラウンマッシュルーム
<お魚>
白子のムニエル 焦がしバターソース 菜の花
<お肉>
本日の鹿肉料理 根セロリピュレ
又は
本日の特選メイン料理
<デセール>
イチゴのガスパチョ 白玉 練乳
生チョコムース ミカンソルベ
食後のお飲み物
になります。
現在のメニューではアミューズで平戸いのししを使ったお料理を提供しています。
――――ありがとうございます!平戸いのししの料理を食べたお客様の反応はいかがでしょうか?
とてもいい反応を頂いていますね。まず、美味しいと言って頂けますし、猪のお肉だと気づかない方がほとんどです。「え!これ、ほんとに猪なの!?」っていう反応です(笑)ただ、提供側として考えることは価格についてです。平戸いのししは決して安くはありません。高いことがもちろん悪いことではありませんし、高価格に見合ったクオリティーであれば全く問題ありません。お客さんの見え方としては、高級な豚肉よりもさらに高いお肉なのか、という印象を受ける方が多いように感じます。ですので、そこをお客さんにどう価値づけをして提供するのかの工夫は必要になってきます。例えば、いまコースで出しているイノシシのクロケットもそうですし、今冬、とても人気のあったメニューに「イノシシ肉とフォアグラのパイ包み」というものがありました。
――――フォアグラとのパイ包みですか!とても美味しそうなのですが、どういったお料理なのでしょうか?
「猪肉です」と言ってお客様に提供するとやはり抵抗を感じる方もいらっしゃいます。少しでも敷居を下げるために、パイ包みにして提供すると、お客様も食べやすいですし、とても好評を頂きました。猪肉を使って、さらにフォアグラを使うとどうなるんだろう、という期待感も醸成できるお料理です。ソースは甘目のソースにしています。平戸いのししってとても綺麗な味なんですけど、旨みも十分にあるので、そこに足し算をして
甘みとかフォアグラの旨みを愉しんで頂きたい、と。あと、パイ包みにすることで平戸いのししの脂の香りも併せてお愉しみ頂けるお料理に仕上がってます。平戸いのししは脂の香りが綺麗なのも特徴ですね。
<イノシシとフォアグラのパイ包み>
実は、いま、リエットも作ってみたんですよ。平戸いのししを使ったリエットで、前菜で時々出しています。色が白っぽいのがわかると思います。これは、脂を多めにいれてるからなんです。もちろん、その脂も平戸いのししの脂です。脂がいいからこそ出来た料理ですね。さらっと食べやすいんですが、旨味もしっかりある。このリエットの肉と脂は全て平戸いのししで、あとは玉ねぎを使っています。これを前菜で、一口サイズのスプーンに盛り付けてお客さんに提供することもあります。さっと一口で食べられるのがお客様からも好評です。
<イノシシのリエット>
――――脂の香りや味にも特徴があるんですね。ほかにシェフが感じる平戸いのししの特徴はありますか?
綺麗な旨みと脂の香りの良さを通してストレートに「猪」というものを味わえる、というのが平戸いのししの特徴だと思っています。猪の一般的なイメージってやっぱり「獣臭い」っていうのが多いと思うんです。ただ、その「臭さ」を求めてくるお客様もけっこういらっしゃるので、そういう人にはもしかしたら物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。ですので、従来のジビエ好きのお客様にお出しする時は、ローストしてそれに赤ワインソースを合わせて出すことも一つの手だと思います。そうすることで、「獣臭さ」が引き立つので喜ばれるお客様もいらっしゃると思います。
ただし、この平戸いのししは「臭さ」を求める猪肉ではないので、パイ包みのような素材の味がよりダイレクトに伝わるアレンジのほうがいいのではないかと思っています。そして、時代も進んでますから新しい素材や調理法もたくさんでてきています。「臭いか」「臭くないか」の2択なら「臭くない」ほうがいいに決まっているので、であれば、平戸いのししのもつ「臭くない」という特徴を活かした調理のほうがいいと思います。
例えば、他の地域の猪を猪鍋とかで食べるとやっぱり獣臭いじゃないですか?それを味噌をいっぱいれて、味を濃くして、が従来のやり方ですが
平戸いのししは獣臭さが全くない猪ですから、そういうことをやる必要がないですよね。おそらく、平戸いのししのしゃぶしゃぶとかさっぱりしていてめちゃくちゃ美味しいと思いますよ(笑)
――――なるほど。従来のジビエ好きな人ではなく、新しい消費者に訴求していけるのが平戸いのししなのかもしれませんね。
そうですね。
「新しい時代を切り開くジビエ」
そんな風に私は平戸いのししを捉えています。ガストロノミーって「美食」っていうような意味もあると思うんですけど、新しい時代を切り開く、みたいな意味もあるんですよね。それをこの平戸いのししで表現できるんじゃないかなと思っています。
これまでの猪の概念が覆る、そんな可能性を秘めている食材じゃないかとも感じています。
【編集後記】
取材中に何度も大塚シェフが口にされていた「素材を無駄なく」という言葉が印象的でした。店名であるLudique(ルディック)はフランス語で「遊び心」という意味があり、大塚シェフはクラシックなフレンチを大事にされているそう。そこに、ちょっとした「遊び心」を加えて、重いイメージを抱きがちなフレンチを現代的にアレンジして、そして、素材を無駄なく、ということをこれからも大事にして料理を作っていきます、とおっしゃってられました。いま、浅草界隈のフレンチが活況で、今回のLudiqueさんも浅草フレンチ新御三家とも呼ばれているそう。
ぜひこのLudiqueで、大塚シェフの遊び心溢れる創造性の高いフレンチをお愉しみ下さい!
<店舗情報>
Ludique(ルディック)
住所:東京都台東区浅草3-18-6 102
TEL:050-5593-3011
営業時間:
《ディナー》 ■18:00~24:00(コースL.O.20:30)
21:00からビストロBarメニュー(L.O.22:30)
《ランチ》 ■土・日・祝のみ 12:00~15:00(L.O13:45)
※定休日:水曜日 月1回不定休(2月3日(月)から6日(木)まで冬休みを頂きます)
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。